12月24日、今日は別にこれといった用事もなく、年賀状を仕上げて出そうとだけ思っていた。そして、服を買いに横浜に行った。結局お気に入りのものがあまりなく帰ろうとしていた。
そのとき、携帯に1通のメールが届いた。千奈美からだ。千奈美はいっつも自分のまわりの面白いことをいちいちメールしてくる。それが千奈美のかわいいところなんだけど。
subject:まってるね!
body:
新杉田で待ってるね!
またこれだ…俺は千奈美の遊び道具かよ…でも千奈美の笑顔を見ると、そんなことはどうでもよくなってくる。しかも今横浜だからそう遠くもない。しゃあないなぁと思いながらも新杉田へ向かうことにした。
そして京浜東北線に乗った。今日はなんだぁ?まったくもう(笑)まぁこないだは学校ではずせなくてことわっちゃったから、今日はいかなきゃなぁ…
おっ、もう山手かぁ、もうすぐだぞ。だけど新杉田ってなんかあったっけ?こっちあんましこないし…
ん?メール?
subject:まってるよ!!
body:
シーパラでまってるよ!
そうきたか。確かに新杉田からシーサイドラインが通ってる。シーパラいつぶりだ?小学生のとき町の行事で行ったような。そんなことを考えながらシーサイドラインに載っていた。
「次は 八景島です」
おぉ着いたかぁ。
SE:電車のドアの開く音
えっとシーパラはどこだ?目の前にあるんじゃないんだぁ。忘れてたよ…てかシーパラのどこにいるんだろ??
プルルルル…プルルルル…プルルルル…
でないぞ…ったく…探せってことかぁ?めちゃめちゃ広いやん…
はぁ…はぁ…これ見つけるの相当大変だぞ…はぁ…はぁ…
…はぁはぁ…もう全部見たはずなんだけどなぁ…どこだ???
「やったぁ!!!!」
「うわぁっ!!!!びっくりしたぁ!!!」
「来てくれると思った♪」
「急に抱きつくなよぉ、心臓止まるかと思ったじゃんかぁ!ってかどこにいたの???」
「ばれないようにトイレで隠れてたんだっ♪」
「それじゃ絶対わかんないじゃんか!」
「んふふっ♪」
「『んふふっ♪』じゃないよ、まったく!」
「ねぇねぇ、あれ乗ろぉー!」
「…人の話聞こうよ…わかった、わかったからひっぱるなってーの!!」
「たのしかったぁ♪次はあれのろー☆」
「だから人の話聞いてないでしょ???」
「ほら、はーやーくー!」
「だからわかったから引っ張るなって!」
「そろそろなんか食べたくない???」
「そう?じゃぁなんか食べる?」
「さーきーちゃーーーん!!!!」
「ん????」
それはいっこ上のお友達の佐紀ちゃんだった。とってもいい子で、周りの評判もすこぶるいい。
まさか佐紀ちゃんも来てたとはねぇ…ん?なんか大きい人と一緒だなぁ、お兄さんとかかな?
「ほらボーっとしてないで食べにいくよっ!」
「ってどこに?」
「はまっこの私におまかせあれぇー♪」
「俺もはまっこなんだけど…」
「じゃーん!カレーミュージアムー☆」
「なんでわざわざここ???」
「友達がおいしいって」
「それだけかよっ!」
「はいろ♪はいろ♪」
「はい、こちら焼きカレーです」
「やったぁ!」
いつ見てもちなみの笑顔はかわいいなぁ…今日のすべてが帳消しだよ。
「おいひー☆」
とっても嬉しそうで何よりだ。ずっと見ていたいなぁ…
「ごちそうさまでした!…おにいちゃん食べるの遅いよ?」
「…あ、ご、ごめん、すぐ食べるよ。」
千奈美のカレーをほおばる姿に見とれていてほとんど食べていなかった。もうカレーはすっかり冷めていた。
急いで食べ、帰りの京浜東北線で千奈美は自分の肩に寄りかかってぐっすり寝ていた。その寝顔を見ていたら、今日が最高のクリスマスイブだと思えた。
「ほらーもうすぐ着くぞぉー」
「ん…んぅん…」